フェルミ推定とは、調査するのが難しい数値を論理的思考によって短時間で概算することです。
コンサルファームなどの難関企業の採用面接では、フェルミ推定のお題が良く出題されます。
何も準備なしに面接で出題されたらまず面接突破するのは厳しいです。
事前に例題を解いてフェルミ推定に慣れておく必要があります。
そこで本記事ではフェルミ推定の例題を簡単なものから実際に面接で出るレベルのお題まで順番に紹介いたします。
コンサル転職経験者の私の回答例も無料でつけていますので、ぜひ参考にしてください。
\面接で出題されたお題を解説/
プロフィール
カラクリ
- 総合系コンサルファームに5年間勤務。
- 転職活動は3回経験。ITコンサルの経験もあり。
- 20回以上のフェルミ面接経験からノウハウを体系化。
注意:フェルミ推定は回答を暗記しても意味がありません。
面接では推定の過程について何度もなぜ?なぜ?と聞かれます。
面接官のなぜなぜ攻撃に耐えられるよう、お題を確認したらそこでスクロールをストップしてまずは自分で解いてみましょう。
なお、フェルミ推定の例題の前に考え方やコツを知りたいという方は以下の記事をお読みください。
目次
【まずはここから】フェルミ推定の簡単な例題
まずはフェルミ推定の中でも比較的簡単なお題を紹介します。
フェルミ推定のお題を解くのが初めての方はまずはここからチャレンジしてみましょう。
- 日本の電柱の本数は?
- 東京都のマンホールの数は?
- 日本のコンビニ
- 日本に猫は何匹いる?
日本の電柱の本数は?
まずは日本の電柱の本数です。
前提確認
電柱は皆さんご存知ですね。
道にあるアレです。
電気を民家等に届けています。
今回はこの電柱が日本に何個あるのかです。
基本式の立案
こういうある時点での数を算出する問題は、ベース×ベースあたりの数で計算するとやりやすい場合が多いです。
電柱が一定間隔ごとあると想定されることから、この問題は面積ベースで計算しましょう。
基本式は下記としました。
基本式
面積×面積あたりの本数
セグメンテーション
精度を高めるためにいくつかのセグメントに分けてから計算を行います。
電柱は民家等の各種施設に電気を届けるためにありますから、人が住んでいるかどうかで面積あたりの本数が大きく変わると想定されます。
そこで人の住んでいる場所として平地と山間部に大きく分けます。
これだけでも問題ないですが、今回はさらに細かく分けようと思います。
平地においては人が多く、電柱の需要も多いと想定される都会とその反対の田舎に分けます。
また、山間部と言えどグランピング施設やスキー場などの人の拠点はあると思いますので、拠点の有無で分けます。
数値の設定・計算
後は数値を設定し、計算していきます!
■面積
日本全体の面積を40万k㎡として計算します。
≫参考:【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】
山間部の方が多いでしょうから、平地:山間部=3:7とします。
平地については都会の方が圧倒的に少ないと想定されるので、都会:田舎=1:9程度でしょう。
一方、山間部については、人の拠点があるような場所は圧倒的に少ないと思いますので、拠点あり:拠点なし=1:9とします。
この比率をもとに計算すると以下のようになりました。
セグメント | 面積(㎡) | 計算根拠等 |
---|---|---|
平地(都会) | 1.2×10^10 | 40×0.3×0.1×10^10 |
平地(田舎) | 11×10^10 | 40×0.3×0.9×10^10 |
山間部(人の活動あり) | 2.8×10^10 | 40×0.7×0.1×10^10 |
山間部(人の活動なし) | 24×10^10 | 40×0.7×0.9×10^10 |
■面積あたりの本数
セグメントごとに異なると想定されますのでそれぞれ以下のように設定します。
セグメント | 本数(本/㎡) | 計算根拠等 |
---|---|---|
平地(都会) | 1/(2.5×10^3) | アパート1つか2つほどに1本立ってるとして幅30mほど。 道路内や施設内にはないので平均50m四方に1本とする。 |
平地(田舎) | 1/(1×10^4) | 都会より密度は低い。 ただ、間隔が広すぎると電線がたるみすぎると想定されるのでそこまで差はない。 平均100m四方に1本とする。 |
山間部(人の活動あり) | 1/(4×10^4) | 活動拠点があるところに絞れば、一定間隔ごとに電柱が必要な特性から、田舎とそこまで差はないと想定。 平均200m四方に1本とする。 |
山間部(人の活動なし) | 0 | 活動拠点のないところでは電柱はなし |
計算結果
以上を計算すると約1,700万本になりました。
数値検証
国土交通省によると平成28年度で約3,600万本のようです。
推定結果は半分くらいとなりましたが、桁が変わらなければ面接上は問題ありません。
≫参考:電柱本数の推移(国土交通省)
また、今回は4つのゼクメントに分けましたが、本番では時間の制約も意識しながらセグメントは2つだけ(平地と山間部)とするのもアリだと思います。
東京都のマンホールの数は?
続いて東京都のマンホールの数です。
本ブログを読まれてる方の多くは人口比率的に東京都周辺に住んでいるかと思いますので東京都としていますが、例えば大阪府とか別の地域でやってみてもいいと思います。
前提確認
マンホールは皆さんご存知ですよね?
道路や歩道にあるあの丸いフタのやつです。
市区町村によってフタのデザインにこだわってて面白いですよね。
正直マンホールの知識はほぼないのですが、災害などでマンホールから汚水が噴き出した的なニュースを聞いたことがあるので、上下水道のメンテナンスなどに使用するんだろうと思います。
基本式の立案
こういうある時点での数を算出する問題は、ベース×ベースあたりの数で計算するとやりやすい場合が多いです。
マンホールは一定間隔ごとあるイメージですから、面積をベースとして計算しましょう。
基本式は下記としました。
基本式
面積×面積あたりのマンホールの数
セグメンテーション
精度を高めるためにセグメンテーションを行います。
前提で確認したように、上下水道のメンテナンスで使用すると想定されることから、人の居住区にあるとわかります。
あと、おそらくですがコンクリートの地面でしか見たことがないので山道にはないと想定されます。
これらのことから、平地と山間部に分けることにします。
数値の設定・計算
続いて数値の計算です。
■面積
まずセグメントごとの面積の前に東京都の面積を推定する必要があります。
日本の面積は約38万k㎡と覚えていますが、東京都の面積は知らないので。
(仮に知っていても面接で推定するよう求められる可能性もあります)
東京都は47都道府県のうち、一、二を争うほど面積が小さいと地理の授業で教わった気がします。
区切りよく50都道府県とし、全都道府県の面積が同じだと仮定しても日本全体の2%の大きさです。
日本の面積を40万k㎡とすると、2%だと8,000k㎡です。
これよりは明らかに小さいでしょうが、さらにその1/10の800k㎡とすると、20km×40kmとなり、感覚的に小さい気がします。
そこでより精度を上げるために別の方法も考えてみます。
過去に都内中心部から西のハズレの高尾駅まで行ったときに1時間はかかった気がします。
電車の平均時速を60kmとすると、距離は60kmです。
都内中心部は東よりにありますので、東京都の横の長さを80kmとします。
また、東京都の形はだいぶ横長だったと記憶しているので、縦の長さを横の1/4の20kmとします。
これで掛け算をすると1,600k㎡と推定できます。
ということで、東京都の面積を1,600k㎡としてセグメントごとの面積を計算します。
東京は関東平野と呼ばれるように平地部分が多いと想定されます。
そこで、平地部分を70%、山間部を30%とし、東京都の面積1,600k㎡とかけ合わせて算出します。
セグメント | 面積(㎡) | 計算根拠等 |
---|---|---|
平地 | 1.1×10^9 | 1.6×0.7×10^9 |
山間部 | 0.5×10^9 | 1.6×0.3×10^9 |
■面積あたりの個数
セグメントごとに次のように設定します。
セグメント | 個数(個/㎡) | 計算根拠等 |
---|---|---|
平地 | 1/(2.5×10^3) | 感覚的に50m四方に1個はありそう。 |
山間部 | 0 | 人の居住地はないとして0 |
計算結果
以上を計算すると約40万個となりました。
数値検証
実際の数値ですが、パッと調べた感じは東京都全体の個数のデータはありませんでした。
マンホールは市区町村ごとにデザインにこだわっていたりしますが、市区町村ごとの管理になっているのが理由の一つかもです。
(いくつかの市区町村のホームページにも見当たらなかったんですけどね…設備計画を立てる過程で絶対いる数値だと思うのですが)
ただ、東京上下水道局(csvファイル)によると東京23区のマンホールの個数は2019年度で約49万個と出ていました。
そのうち千代田区が最も少なく約7,000個のようです。
東京には23区を除いて39市町村あるので、仮に全て7,000個とすると、約27万個となります。
23区と合わせると71万個となります。
推定結果の方が少し少なくなりましたが、桁が変わらなければ面接上は問題ありません。
日本にあるコンビニの数は?
続いて日本のコンビニの数です。
新卒就活の時に日本のうどん屋の数のフェルミ推定が出たような記憶があるので、類似問題であるコンビニの数ももしかしたら出題されるかもですね。
前提確認
コンビニを知らない人はいないでしょう。
範囲は日本国内です。
セブンやラーソン限定ではなくて全部です。
基本式の立案
ある時点での数を求める問題のため、ベース×ベース当たりの数が第一選択として上がります。
何をベースとするかですがやはり面積がやりやすいかと思います。
その他、コンビニの特性から例えば下記などの基本式も考えられます。
- コンビニ全体の売上(or利用者数)をコンビニ1店舗の売上(or利用者数)で割る
- 人口(密度)に比例するとして東京のコンビニ数を算出した後に、東京都と日本全国の人口比から算出する
- 小売店舗全体の店舗数を算出し、コンビニの占める割合をかけて算出する
が、面積以外の方法だと項目数が増えてしまうように思うので(コンビニ全体の売上が、人口×利用率×利用頻度×…となるなど)、面接では不向きかなとも思います。
(時間と思考・計算スピード次第ですけどね)
今回は面積ベースとして以下のように基本式を設定しました。
基本式
面積×面積あたりの店舗数
面接官から「他にどのような算出方法を考えたの?」と聞かれることがあるので、今回のように「他の算出方法」と「面積ベースを選んだ理由」は答えられるようにしておきましょう!
面接官からよく聞かれる質問と回答方法はフェルミ推定の面接対策:面接官の突っ込みポイントへの回答方法で解説しています。
セグメンテーション
コンビニの数は人口密度にが高くなると増えると思いますので、今回は人口密度に応じて大都市、地方都市、田舎、山間部の4つに分けてみましょう。
数値の設定・計算
続いて数値計算です。
■面積
日本全体の面積を40万k㎡として計算します。
≫参考:【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】
山間部の方が多いでしょうから、平地:山間部=3:7とします。
平地については都会の方が圧倒的に少ないと想定されます。
大都市を東京などの三大都市圏、地方都市を各都道府県の県庁所在地レベル、田舎をその他の地域とし、感覚的に大都市:地方都市:田舎=1:2:7とします。
この比率をもとに計算すると以下のようになりました。
セグメント | 面積(k㎡) | 計算根拠等 |
---|---|---|
大都市 | 1.2×10^4 | 40×0.3×0.1×10^4 |
地方都市 | 2.4×10^4 | 大都市×2 |
田舎 | 8.4×10^4 | 大都市×7 |
山間部 | 28×10^4 | 40×0.7×10^4 |
■面積あたりの店舗数
店舗数は都会の方が多いと想定されます。以下のように設定しました。
セグメント | 店舗数(店/k㎡) | 計算根拠等 |
---|---|---|
大都市 | 4 | 0.5km四方に1つ |
地方都市 | 1 | 1km四方に1つ |
田舎 | 0.1 | 地方都市の1/10程度 |
山間部 | 0 | 人の住まない地域には無いとする |
計算結果
以上をもとに計算すると約8万店舗になりました。
数値検証
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会によると2023年11月時点のコンビニの数は55,771店とのことです。
少し多くなりましたが1.5倍程度ですし面接上は問題ありません。
日本に猫は何匹いる?
続いて日本にいる猫の数です。
前提確認
このお題は猫の定義が重要です。
猫と一口に言っても、ペット猫もいれば野良猫もいます。
考えられる猫の存在場所をまとめました。
- 飼育猫
- ペット猫
- ペットショップにいる猫
- その他(動物園、猫カフェなど)
- 野生の猫
- 人の住処にいる猫(野良猫)
- 山など人の住んでない場所にいる猫(ほんとの野生猫)
面接の中でこの全てを推定するのは時間的にキツイと思います。
(日本にいる動物の数に猫の比率をかけるなどの方法も考えられますが、精度が低い気がします)
この場合は推定する対象を絞りましょう。
ではどの猫を推定しますか?
算出しやすそうなペット猫にします?
“しやすい”という理由は適切でしょうか?
考え方の一つとして最も数が多いと思われるものを選ぶと良いと思います。
最も数の多いものが全体の推定結果に影響しますし、仮に他の者と桁が一桁異なればこれだけ推定すればほぼほぼ全体を推定できたとも言えます。
そうすると「ペットの猫」か「野生の猫」となるのではないでしょうか?
しかし野良猫はいる地域にはたくさんいるもののいない地域では全く見かけません。
また、野生の猫は山などにいるのかなと思いますが、登山などをしていて見かけたことは一度もありません。
一方ペットの猫は、学校のクラスで一人は飼っていたような気がするので、感覚的にペットの猫の方が多い気がします。
そこで今回はペットとして飼われている猫の数を推定することにします。
ディスカッションタイムで、面接官から他の猫はどう推定する?と聞かれる可能性もあります。
最低限、他の猫の基本式は答えられるように準備していきましょう。
基本式の立案
猫の数を推定する問題ですので、ベース×ベースあたりの数が良いでしょう。
ベースは世帯単位で猫を飼うことを考えると、世帯にするのが良いと思います。
また、世帯のうちペットや猫を飼っていない世帯も一定数含まれますので、ペット保有率と猫選択率という項目もいれます。
基本式
世帯数×ペット保有率×猫選択率×世帯あたりの猫の匹数
ペット保有率×猫選択率と分けずに猫保有率のみにする方法もあります。
が、こういったあるグループ(ペット)内の1つの要素(猫)を推定するお題の場合、分ける方をおすすめしています。
面接だとこのあと「猫を飼う人を増やすには?」みたいなケースが出る可能性があります。
猫選択率を切り出しておくことで、「ペットを飼っているけど猫は飼っていない層(ペットを飼っていない人より猫に興味を持ちそう)」の議論がしやすくなるというメリットがあるからです。
セグメンテーション
推定精度を上げるセグメントを考えていきます。
ペットや猫は一人暮らしかどうかで飼うかどうか、飼った時の匹数が変わりそうなので、世帯人数で分けます。
他に下記などもいいかもですね。
- 住まいの種類(賃貸、所有、一軒家、マンション・アパート)
- 世帯主の年齢
- 住む地域(都会、田舎)
数値の設定・計算
■世帯数
日本の世帯数を4,800万世帯(1.2億人÷2.5人/世帯)とします。
≫参考:【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】
1人世帯は若い時、独身の人、高齢者が考えられますが、そこまで多くないと思います。
平均2.5人/世帯と考えていますし、全体の20%とします。
また、ペット保有率や数に影響の出そうな2人世帯(結婚子なし)と3人世帯以上(結婚子あり)に分け、それぞれ40%ずつとします。
この数値をもとに計算すると以下のようになりました。
セグメント | 世帯数(万世帯) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 960 | 4,800×20% |
2人世帯 | 1,920 | 4,800×40% |
3人以上世帯 | 1,920 | 同上 |
■ペット保有率
世話の大変さを考慮すると世帯人数が多いほど保有率も高くなると想定されるます。
下表のように設定しました。
セグメント | ペット保有率(%) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 10% | 10世帯に1世帯 |
2人世帯 | 20% | 5世帯いたら1世帯はペットを飼う |
3人以上世帯 | 40% | 5世帯いたら2世帯はペットを飼う |
■猫選択率
続いて猫選択率です。
猫は犬と同じくらい人気なことと、一人暮らしでは飼いやすさの点から金魚やハムスターなどの小動物の方が人気として設定しました。
セグメント | 猫選択率(%) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 10% | ほとんどが金魚やハムスター |
2人世帯 | 40% | 犬、猫それぞれ40% |
3人以上世帯 | 40% | 同上 |
■保有数
保有数も同様に世帯人数に応じて増えるとします。
ただし、ペット保有率や猫選択率より増え幅は小さいかと思います。
下表のように設定しました。
セグメント | 保有数(匹) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 1 | 飼うとしても1匹 |
2人世帯 | 1.5 | 複数飼いもいるが |
3人以上世帯 | 1.5 | 同上 |
計算結果
以上を元に算出すると約730万匹となりました。
(四捨五入等しながら計算してます)
数値検証
一般社団法人ペットフード協会(pdf)によると2023年の猫と飼育頭数は、9,069千頭とのこと。
少し少なくなりましたが、桁数が変わらなければ面接上は問題ありません。
面接で出るかも?フェルミ推定の売上の例題
続いて売上推定系のお題です。
市場規模系のお題と並んで採用面接では頻出です。
以下2つのお題を解説します。
- スターバックスの1日の売上(東京スカイツリー1階)
- 東京メトロのコインロッカーの1日の売上
東京スカイツリー1階のスターバックスの1日の売上
スターバックス1店舗の1日の売上です。
例題としても頻出ですし実際の面接で出題されることもあります。
私がベイン&カンパニーを受けた際は一次面接で出題されました。
今回は私が以前通っていた東京スカイツリーの1階にあるスターバックスにしますが、あなたがよく行く店舗に置き換えていただいても問題ありません。
(実際の面接でもこちらで指定できることが多いです)
前提確認
東京スカイツリーの1階にあるスタバの1日の売上です。
平日か休日かの指定はありませんが、よく通っていてイメージがしやすい休日にします。
面接でなぜ休日?と聞かれたら、休日の方がスカイツリーの来場者も多く潜在需要の大きいので改善できた際のインパクトが大きいと考えられるため、みたいに説明するかもです。
基本式の立案
まずはフェルミ推定の計算式を立てます。
今回はミクロ売上の稼働率型が良さそうなので、ベース×稼働率×回転数×単価とします。
≫参考:フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説
ベースを何にするか?ですが、パッと思いつくのは席数です。
しかし、スタバはテイクアウトも行っていますので、席数基準だとテイクアウトが漏れてしまいます。
(席数で店内利用客数を算出した上で、一定の比率でテイクアウト客数を算出してもいいですけどね)
そこで今回は店内客もテイクアウト客のどちらも使うレジをベースにします。
基本式は下記のようになります。
基本式
レジの台数×稼働率×回転数×営業時間×客単価
セグメンテーション
続いて精度を上げるためにセグメント分けをします。
時間帯によって客数や注文内容が大きく変わりそうなので、時間帯で分けるのが良さそうです。
(他にも例えば女性の方がドリンクもフードも高いのを頼みそうと考えて、性別で分けてみるのも面白いかもしれません。)
記憶ですが営業時間が8時〜22時くらいだったと記憶しているので、ユーザー行動が変わりそうな朝(8時〜11時)、昼(11時〜14時)、夕方(14時〜17時)、夜(17時〜22時)に分けます。
もっと粗く朝昼夜だけに分けるとか、もっと細かく昼前、昼後、深夜なども分けてもいいと思います。
面接本番では与えられた時間から現実的な数に分けます。
数値の設定・計算
後は計算するだけです!
順番にいきます。
■レジ数
確か3台だったと記憶しています。
時間帯によらず一定です。
■稼働率
レジがどれだけ稼働しているのかは混み具合によると思うので、時間帯によって変わると思います。
セグメントごとに以下のように設定しました。
セグメント | 稼働率(%) | 計算根拠等 |
---|---|---|
朝(8-11) | 60 | レジ2/3台が稼働 |
昼(11-14) | 80 | 昼食の時間帯。 朝よりは混むがレストランに向かう客も増えるので、max混む訳では無い。 |
夕(14-17) | 100 | 昼過ぎティータイムで最も混む時間 |
夜(17-22) | 50 | 夕食の時間帯。 帰るかレストランにいる客が増える。 |
■回転数
混んできたからといって、1人をレジでさばくスピードは変わらないかと思います。
注文を聞いてから準備と会計をしていますので、ざっくり1人あたり2分くらいでしょうか?
コーヒーだけの人はもう少し早いかもですが、あくまで平均です。
スカイツリー1Fのスタバはいつも並んでいるイメージですので、各レジで常にさばいていると仮定し、時間あたり回転数は全てのセグメントで30人とします。
■客単価
時間帯によって注文内容は変わってくると思いますので、セグメントごとに以下のように設定しました。
セグメント | 客単価(円) | 計算根拠等 |
---|---|---|
朝(8-11) | 500 | ドリンクのみがほとんど |
昼(11-14) | 700 | ドリンクのみと+フードが半々くらい |
夕(14-17) | 700 | 同上 |
夜(17-22) | 500 | ドリンクのみがほとんど(スタバで夕食はほぼなしと想定) |
計算結果
以上を計算すると約53万円となりました。
数値の検証
コフィア世界の珈琲情報サイトに2023年9月末の決算公告が掲載されていたので引用いたしました。
売上高は289,497百万円、店舗数は1,885店舗、フランチャイズ店舗が153店舗とのことです。(フランチャイズやってたんですね)
仮に全て直営の売上とすると1店舗あたり約1.5億円。
1日あたりは約40万円です。
スカイツリーのスタバですから、平均よりは売上は高いでしょう。
そう考えると悪くない数値かもしれません。
コーヒー関連でいうと、東海道新幹線の1日のコーヒーの売上をnoteで解説しています。
こちらは過去にPwCやBCGで出題されたことがあります。
面接官から突っ込まれやすい質問とその回答例も載せているのでぜひ考えてみてください。
東京メトロのコインロッカーの1日の売上
東京メトロは、東京都の地下鉄のことです。
東京にあまり詳しくない方は大阪や名古屋などの別の地域の地下鉄について考えてもよいかと思います。
なお、オンラインではなくファームの東京オフィスを訪問しての面接の場合、東京在住でなくとも出題されるかもです。
今日乗ってきた範囲で推定して、みたいになると思うので。
前提確認
東京メトロについては既に触れたように東京都の地下鉄のことです。
期間は1日です。平日、休日は平日にしましょうか。
面接が行われる今日についてどう思うか聞かれそうな気もするので。
基本式の立案
今回はミクロ売上の稼働率型が良さそうなので、ベース×稼働率×回転数×単価とします。
≫参考:フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説
今回ベースとなるのはコインロッカーてすね。
しかしコインロッカーの数といわれても想像がつかないのでさらに分解します。
東京メトロのコインロッカーの数ですから、東京メトロの駅に設置されてるはず。
そこでコインロッカーの数を「東京メトロの駅の数×一駅当たりのコインロッカー設置数×一コインロッカー当たりの口数」と分解します。
1つのコインロッカーに複数口があるのが一般的だと思いますので、設置数と口数を分けています。
以上を踏まえて基本式を以下のように設定しました。
基本式
東京メトロの駅の数×駅当たりのコインロッカー設置数×コインロッカー当たりの口数×稼働率×回転数×単価
セグメンテーション
コインロッカーの数や稼働率、回転率は、駅の大きさによって異なりそうです。
そこで、駅の大きさを大中小の3区分にセグメンテーションして計算しようと思います。
他にも、ビジネス街の駅、観光地が近い駅、新幹線が停まる駅など、駅の主な特徴で分ける方法も考えらえれます。
しかし、「ビジネス街からと観光地からも近い駅の存在」や、「観光地から近い駅をどう定義するかの問題」が発生し、ややこしくなりそうなので、あまり良い切り口とは思いません。
また、コインロッカーのサイズで切り分ける方法もありますが、設置数や単価は異なりますが、稼働率等はあまり差がない気がしますし、精度を上げる目的から言うとそこまで良い切り口とは思いません。
数値の設定・計算
■東京メトロの駅の数
各セグメントの数値を計算する前に総数を算出します。
東京メトロの駅の数=東京メトロの線の数×線あたりの駅の数=7×15=105
東京メトロの線の数は、駅でみかける色の数(赤、青、灰色、黄、オレンジ、紫、ともう一個くらいありそう)をイメージしながら決めました。
線あたりの駅の数は、乗り場にある路線マップ(?)を思い出しながら決めました。
(10よりは多かったが、20よりは少ないように思う)
105駅を総数としてセグメントごとに計算していきます。
正規分布をイメージしながら、中規模駅が最も多く、大規模、小規模が少ないとして設定しました。
セグメント | 駅の数 | 計算根拠等 |
---|---|---|
大規模駅 | 21 | 105×20% |
中規模駅 | 63 | 105×60% |
小規模駅 | 21 | 105×20% |
■駅あたりのコインロッカーの設置数
コインロッカーは改札を出たところをあるイメージなので、改札の数を基準に考えていきます。
セグメント | コインロッカーの数 | 計算根拠等 |
---|---|---|
大規模駅 | 10 | 改札5個×1改札あたり1個+改札以外の場所に5個 |
中規模駅 | 5 | 改札3個×1改札当たり1個+改札以外の場所に2個 |
小規模駅 | 1 | 改札1個×1改札当たり1個+改札以外の場所に0個 |
■コインロッカー当たりの口数
イメージしてみると、どの駅のコインロッカーでもだいたい同じくらいの口数だったように思います。
受給調整はコインロッカーの数で行いつつ、同じサイズ・口数とすることで製造効率を上げている(調達視点で言うと大量購入により値下げを図っている)のかもしれません。
そこで口数は駅によらず一定とし、縦3口×横5口=15口とします。
セグメント | 口の数 | 計算根拠等 |
---|---|---|
大規模駅 | 15 | 縦3口×横5口=15口 |
中規模駅 | 15 | 同上 |
小規模駅 | 15 | 同上 |
■稼働率
大、中、小それぞれの駅でのロッカー利用シーンをイメージしながら数値を設定していきます。
前提として、休日はロッカーが埋まって入らないということがよくありますが、平日はそこまで需要は強くないと考えています。
セグメント | 稼働率 | 計算根拠等 |
---|---|---|
大規模駅 | 80% | 観光客やビジネスマンが主に利用。 5口中4口は埋まっている。 |
中規模駅 | 50% | 観光客やビジネスマンの利用は減る。 半分は埋まっている。 |
小規模駅 | 20% | ほとんど利用する人はいない。 5口中1口は埋まっている。 |
■回転数
稼働率同様、利用シーンをイメージしながら数値を設定します。
セグメント | 回転数 | 計算根拠等 |
---|---|---|
大規模駅 | 2 | 朝入れて昼に取り出す&昼に入れて夜取り出すの2回転 |
中規模駅 | 2 | 同上 |
小規模駅 | 1 | 利用者がほとんどいないことから、平均1回転 |
■単価
単価は口の大きさによって300円、500円、700円くらいに分かれていたかと思いますが、駅の規模による違いはなかったかと思います。
大規模駅は大サイズの口が多い可能性もありますが、推定上は誤差の範囲かと思いますので、一律で設定します。
セグメント | 単価 | 計算根拠等 |
---|---|---|
大規模駅 | 500円 | 300円、500円、700円の3つの口があるとして、平均の500円を採用 |
中規模駅 | 500円 | 同上 |
小規模駅 | 500円 | 同上 |
計算結果
以上を計算すると、約470万円となりました。
数値検証
残念ながらそのもの数値は見つかりませんでしたので、他の数値から検証してみます。
■東京メトロコマースの事業収益からの推定
東京メトロのコインロッカーの運営は、子会社の「東京メトロコマース」がやっているそうです。
コインロッカーの運営以外にも、駅構内の物品販売などもやっているみたいです。コインロッカーは一つの収益源でしょうから、売上げの10%くらいはありそうです。
会社概要より、事業収益が150億円(2018年度)です。
単純計算15億円ですから、推定結果の17億円はある程度合っていそうです。
■一般社団法人手ぶら観光協会の最大市場規模から推定
一般社団法人手ぶら観光協会の資料(P.8)に、コインロッカーの市場規模がありました。
実現可能な最大の市場規模として360億円とのこと。
最大の市場規模とのことですから割り引いてみて、実際は300億円くらいとします。
日本の市場規模が300億円くらいですから、最大都市とはいえ日本の都市の1つである東京の、ある鉄道機関のコインロッカーとなると、シェアは5%くらいな気がします。
そうすると15億円ですね。
推定結果と同じくらいですから、悪くない推定結果かなと思います。
\面接で出題されたお題を解説/
転職面接で定番!フェルミ推定の市場規模の例題
続いて市場規模系の例題です。
市場規模系は面接では超定番です。
例題をたくさん解いてどんなお題が出ても対応できるようにしておきましょう。
ここでは以下2つのお題を解説します。
- 日本の缶コーヒーの市場規模
- 日本の家庭用洗濯機の市場規模
≫参考:【重要】フェルミ推定の市場規模系のお題の解き方【例題まとめ付】
日本の缶コーヒーの市場規模
まずは日本の缶コーヒーの市場規模です。
前提確認
対象は缶コーヒーで、範囲は日本です。
缶コーヒーは大体の人がイメージできるかと思います。
コンビニや自動販売機で良く見かけますね。
カフェラテなどを含むか悩ましいですが、ミルク入りコーヒーと捉えて含みましょう。
今回ポイントとなるのは、コーヒーではなく缶コーヒーというところです。
基本式に影響してきます。
基本式の立案
マクロ売上の消耗品型に分類されますので、基本式はベース×購入数×購入率×単価です。
≫参考:フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説
缶コーヒーは個人で飲むものですから、ベースは日本人口が良いでしょう。
また、缶コーヒーを飲むのはそもそもコーヒーを飲む人です。
コーヒーを飲む人が状況によって缶を選ぶとすると考えやすいです。
そこで基本式を下記のようにしました。
基本式
日本人口×コーヒー飲む人率×コーヒーを飲む頻度×缶コーヒー選択率×単価
セグメンテーション
勝手なイメージですが、缶コーヒーはトラックの運転手などが車の運転中に飲むイメージがあります。
すぐ飲めて車内でもこぼれにくいことなどが影響しているのかもしれません。
一方、自宅にいる時間が長い人はソリュブルコーヒーやドリップコーヒーを飲む人が多い印象です。
また、子どもはそもそもコーヒーを飲まない人がほとんどではないでしょうか。
以上のことから、年齢やライフスタイルの影響で数値が変わりそうですので、年齢軸でライフスタイルを意識しながら切り口を決めようと思います。
その他の軸として性別もいいかもしれませんね。
女性の方が苦手、ドライブする職種につく人が少なそう、妊娠出産中は飲めない、量も少なそうな気がします。
他にはドライブに焦点を当てて、地域軸(都会、田舎)なんかも面白いかもです。
今回は以下の3つのセグメントとしました。
- 子ども・学生:0-22歳
- 社会人:22-65歳
- 高齢者:65-80歳
なお、高校生や大学生はコーヒーを飲む人はいるかと思いますが、缶コーヒーはほぼいないと思うので、子どもとくっつけて1つのセグメントとしています。
数値設定・計算
■日本人口
全体を1億2,000万人として以下のように設定しました。
≫参考:【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】
セグメント | 人口(万人) | 計算根拠等 |
---|---|---|
0-22歳 | 3,000 | 0-80歳まで均等に分布しているとしてざっくり |
22-65歳 | 6,000 | 同上 |
65-80歳 | 3,000 | 同上 |
■コーヒーを飲む人率
コーヒーを飲む人です。以下などを考慮して設定しました。
- 子どもは飲めない(飲めて高校生以上くらい)
- 嗜好性のある商材(飲む人はいくつになっても飲み続ける)
- ノンアルコールの嗜好性飲料はコーヒー派、紅茶派、その他に別れる
セグメント | コーヒーを飲む人率 | 計算根拠等 |
---|---|---|
0-22歳 | 5% | 高校生、大学生が少し飲む |
22-65歳 | 40% | コーヒー派が40%、紅茶派が40%、その他が20%とする |
65歳-80歳 | 40% | 飲む人はいくつになっても飲み続ける |
■コーヒーを飲む頻度
コーヒーは嗜好品ですし習慣になっている人が多いと思いますので、学生を除き飲む人はほとんどの人は毎日飲むと考えられます。
また、1日の中で飲むタイミングとしては下記があると思います。
- 朝食時
- 午前中
- 昼食時
- 午後
- 夕食時
飲みすぎるとトイレが近くなりますし眠れなくなるとも言われているので、平均的に考えると1日に2回程度ではないでしょうか?
そこでセグメントごとに次のように設定しました。
セグメント | コーヒーを飲む頻度(回/年) | 計算根拠等 |
---|---|---|
0-22歳 | 120 | 3日に1回程度お昼のドリンク等の用途でコンビニで買う |
22-65歳 | 700 | 1日2回弱 |
65歳-80歳 | 400 | 仕事中に飲むという習慣がなくなる人が多くなり、平均1日1回とちょっと |
■缶コーヒー選択率
どの容器や作り方でコーヒーを飲むのかです。
まずどのような選択肢があるのかを考えてみます。
- 外で飲む用
- チルドコーヒー
- コンビニの淹れたてコーヒー
- 缶コーヒー
- 喫茶店
- 家で飲む用
- ドリップコーヒー
- ソリュブルコーヒー
- 豆から抽出
以上の選択肢の中で缶コーヒーを選ぶ比率をセグメントごとに考えます。
セグメント | 缶コーヒー選択率 | 計算根拠等 |
---|---|---|
0-22歳 | 5% | コンビニや自販機で買うことが多い。チルドカップか淹れたてコーヒーがほとんど。 |
22-65歳 | 25% | コンビニや自販機で買うことが多い。 見た目や味などから歳を取るにつれて缶コーヒーに移る人が増える。 |
65歳-80歳 | 10% | 自宅か喫茶店で飲むことが多い。 缶コーヒーの味が好きな人のみが定年後も飲み続ける。 |
■単価
単価は自身の記憶からどのセグメントでも120円と設定します。
計算結果
以上を計算すると約5,600億円になりました。
数値検証
日経新聞に富士経済のレポートが載ってました。(元レポートは有料っぽい)
2018年で6,095億円とのこと。
まぁ近い数字になりましたが、大事なのは計算過程ですので一喜一憂する必要はありません。
(ほんとは設定した数値それぞれが統計データと乖離がないかを検証したほうがよいですね)
\面接で出題されたお題を解説/
日本の家庭用洗濯機の市場規模
次は家庭用洗濯機です。
これはあまり難易度高くないかもです。
前提確認
家庭用洗濯機です。
乾燥機は除きます。
乾燥機付き洗濯機は含みましょう。
基本式の立案
マクロ推定の耐久財型に該当します。
≫参考:フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説
ベース×保有率×保有数÷買い替え頻度×単価ですね。
世帯で保有するものですから、ベースは世帯が良いでしょう。
基本式
日本の世帯数×保有率×保有数÷買い替え頻度×単価
セグメンテーション
現代では洗濯機を保有していない世帯はほぼいないのかなと思います。
買い替え頻度もそんなに差はないでしょう。
となると、正直セグメンテーションをしなくても十分な精度な気もしま
が、あえて分けるとしたら、世帯人数はどうでしょうか?
世帯人数によって洗濯機のサイズ(単価)が変わりますし、洗濯物を乾す手間を考えると、乾燥機付洗濯機などの高性能なもの(高単価なもの)を購入する率が高い気もします。
そこで今回は世帯人数で切り分けようと思います。
1人世帯、2人世帯(主に子なし夫婦や子供が自立した後の夫婦)、3人以上世帯(子育て世帯)で切り分けます。
数値設定
■日本の世帯数
日本の世帯数を4,800万世帯(1.2億人÷2.5人/世帯)とします。
≫参考:【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】
1人世帯は若い時、独身の人、高齢者が考えられますが、そこまで多くないと思います。
平均2.5人/世帯と考えていますし、全体の20%とします。
また、2人世帯(結婚子なし)と3人世帯以上(結婚子あり)は、それぞれ40%ずつとします。
この数値をもとに計算すると以下のようになりました。
セグメント | 世帯数(万世帯) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 960 | 4,800×20% |
2人世帯 | 1,920 | 4,800×40% |
3人以上世帯 | 1,920 | 同上 |
■保有率
保有率はほぼほぼ100%と考えてよいでしょう。
ただ、コインランドリーが存在していることを考えるとある程度は洗濯機を保有していない世帯がいると考えられます。
コインランドリーが1回当たりお金がかかることを考えると、洗濯回数が少ない一人世帯の方がコインランドリー利用率が高い(洗濯機保有率が低い)と考えられます。
そこで今回は次のように保有率を設定しました。
セグメント | 保有率(%) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 90 | 10世帯中9世帯が保有 |
2人世帯 | 100 | 全世帯が保有 |
3人以上世帯 | 100 | 同上 |
■保有数
もしかしたら複数台数持っている世帯もいるかもしれませんが、相当マレではないかと思います。
そこで全セグメントともに保有台数を1台とします。
セグメント | 保有台数(台/世帯) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 1 | 複数台持つ家庭をみたことがない&そのメリットが見当たらない |
2人世帯 | 1 | 同上 |
3人以上世帯 | 1 | 同上 |
■買い替え頻度
実家や自宅の洗濯機買い替え頻度などをもとに設定していきます。
世帯人数の増減を除いては洗濯機の故障が主な買い替え理由かと思うので、各セグメントごとの差はあまりないと想定されることも踏まえています。
セグメント | 買い替え頻度(年/回) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 10 | 一人暮らし6年では一度も買い替えなかった。 6年よりは長い想定。 |
2人世帯 | 10 | 同上 |
3人以上世帯 | 10 | 実家は30年ほどで2回買い替えた。 最初の1台を合わせて10年に一度程度。 |
■単価
最後に単価です。
世帯人数が増え、量が増えるにつれて洗濯機の容量も増えますし、手間や光熱費を減らすために乾燥機付きや省エネ性能付きのを選ぶ人が増えると想定されます。
これを踏まえて単価を設定しました。
セグメント | 単価(千円/台) | 計算根拠等 |
---|---|---|
1人世帯 | 3 | 低容量、低機能 |
2人世帯 | 5 | 1人世帯と3人以上世帯の間 |
3人以上世帯 | 10 | 高容量、高機能 |
計算結果
以上を計算すると、約3,100億円となりました。
数値検証
ぱっと調べた感じだと金額ベースの市場規模のデータは見つかりませんでしたが、台数ベースの市場規模のデータがありました。
GfK Japanによると2022年で440万台とのこと。
推定結果を台数ベースにしてみると、約650万台です。
少し多くなりましたが、精度よりもどこの数値や前提が誤っている可能性があるのか?などを考察するほうが重要です。
市場規模系のお題として、noteでは以下などの解説・回答例と面接官からの突っ込み内容を解説しています。
- 新品ベビーカーの市場規模(PwC Strategy&で出題)
- ミネラルウォーターの市場規模(マッキンゼー、モニターデロイト、KPMG FASで出題)
- 中古車の年間販売台数(PwC Strategy&で出題)
- 筆記用具の市場規模(BCGで出題)
- 紙コップの市場規模(BCGで出題)
他にもケース面接含めて様々なお題の解説をしていますので、気になった方はぜひ見てみてください。
フェルミ推定の面白い例題
続いて頭の体操的な要素の入ったお題です。
コンサルの採用面接ではまぁ出ないかなと思いますが、どんなお題でも思考停止しないよう、あらかじめ練習しておきましょう。
- 今地球上では何人の人が寝ているか?
- スクールバスにゴルフボールは何個入るか?
今地球上では何人の人が寝ているか?
今〇〇系のお題と勝手に命名しています(笑)
初見だとどうしたらいいか全くわからない方もいるかと思いますが、一度解いておくだけでだいぶ慣れると思います。
前提確認
今寝ている人の数ですので、今とはいつか?寝ているとはどんな状態か?を定義づける必要があります。
まず”今”について、面接時間と仮定して、昼過ぎの14時としましょうか。
“寝ている”について、”眠っている”ではないですね。
“横になっている”人が対象になるでしょう。
そうすると夜の睡眠も含めて以下などが対象になるかと思います。
- 夜の睡眠
- 昼寝、うたた寝
- 赤ちゃんのお寝んね
- 病気による寝込み
このうち圧倒的に多いのは夜に寝ている人だと思うので、夜に寝ている人に絞ることにします。
基本式の立案
今回の式は以下のようになるかと思います。
式自体は至ってシンプルです。
基本式
世界の人口×寝ている人率
セグメンテーション
睡眠時間の長さで分けてみても良いかと思いますが、今回はなしとします。
数値の設定・計算
■世界の人口
世界の人口を約70億人とします。
≫参考:【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】
■寝ている人率
一日の平均睡眠時間を7時間とします。
仮に地球上に人が均等に分布しているとすると、7/24が寝ている地域に該当するので、この比率を用いても良いでしょう。
しかし実際は均等には分布していないはず。
仮に夜の寝ている時間帯を23時〜6時を寝ている時間とすると、”今”(日本時間で14時)寝ている地域はどこの人達でしょうか?
日本の標準時子午線が東経135度にあることと、15度で1時間ということを踏まえると、日本で14時の際に23時〜6時の地域は西経90度〜0度〜東経15度とわかります。
つまりアメリカあたりからヨーロッパの西側あたりまでということですね。
そうすると人があまりいないと想定される大西洋が含まれていますね。
大西洋部分(2時間分と仮定)は除いたほうが精度は高くなると想定されます。
(北極近くにグリーンランドとかがあった気もしますので、含めるとしてもそんなに違和感ないかもですが)
また、日本の東〜アメリカ西海岸までの太平洋(6時間分と仮定)も人が住んていないとして除外してもいいでしょう。
そうすると寝ている人率は、5/16となります。
寝ている地域の人の中には何かしらの理由で寝ていない人もいるでしょうが、他の時間帯で寝ている人もいると思うので、寝ていない人の比率は無視します。
計算結果
以上をもとに計算すると、約22億人となりました。
数値検証
今回は答えそのものを検証するのは難しいですね…ちなちに西経90度はアメリカの東側、東経15度はドイツの最東端(ヨーロッパの真ん中くらい)でしたので、私の想定より東側でした。
範囲に含まれる国の人口から推定すればある程度の検証はできそうですが面倒なのでやりませんw
たた、地図を見た感覚として、太平洋の東端(南アメリカ大陸の東側)が含まれること、カリブ海などの海上が含まれることから、もっと数値は小さくなるように思います。さらに、 データブック国際労働比較2023(pdf)によると、2020年時点で世界の人口78億人の6割近くの46億6,400万人がアジアに住んでいることを考えるとさらに少なそうです。
今回は海の存在を考慮して精度向上を目指しましたが、加えて地域ごとの人口の方よりも考慮するべきでした。
反省。
スクールバスにゴルフボールは何個入るか?
Googleの入社試験で実際に出たことがあるそうです。
ちなみに、近年はGoogleはフェルミ推定ではスキルは測れないとのことで、フェルミ推定はやらないとのことです。
(参考:「地頭力」試すのは時間の無駄だった グーグル人事責任者、衝撃の告白)
実際にGoogleを受けたことがあるわけではないので、気になる人は1回受けてみてください(笑)
前提確認
スクールバスは人によってイメージする大きさが異なると思いますが、私の認識だと一般的な市バスより一回り小さいイメージです。
市バスよりも乗降数が少ないからかなと思います。
最近は市バスでも小さめのサイズが走っているのを見かけますけどね。
今回も一般的な市バスより一回り小さいサイズとして推定していきます。
ゴルフボールは皆さん大体イメージが合うと思います。
テニスボールより一回り小さいボールですね。
卓球の球よりは少し大きいかなと思います。
基本式の立案
いくつ入るか?ですので、スクールバスの体積×空間率÷ゴルフボール1つあたりの体積で考えます。
しかしゴルフボールは球上ですので、そのまま体積で割ると空間が全く存在しないことになります。
そこでゴルフボールの直径と同じ長さの辺を持つ立方体が何個入るかで考えることにします。
基本式
スクールバスの体積×空間率÷ゴルフボールの直径と同じ長さの辺を持つ立方体の体積
セグメンテーション
今回は不要かなと思うのでなしとします。
数値の設定・計算
■スクールバスの体積
スクールバスに乗った記憶はもうほぼないので、体積も推定します。
体積ですので、縦×横×高さですね。
大きな施設を除けば一つの施設に園児20名くらいでしょうか?
20名が必ず入る大きさだとします。1列の座席は二人がけのイスが2つで4人座れるとすると列は5つです。
横幅を二人がけイス(1.5m)×2+通路0.5mとすると、バスの横幅は3.5mです。
また、1列の縦幅を1mとすると、座席部分の縦幅は5mです。
あとは縦幅の要素として運転手の座席と前後の窓までの隙間があると思います。
運転席はハンドルなどもありますので2mの縦幅とし、前後の隙間が1mとすると、縦幅は8m(5+2+1)です。
高さは、入口が大人でもかがまずに乗れる&入口が地面から少し浮いていることを踏まえて2.5mとします。
以上からバスの体積は約70㎥となります。
■空間率
物理的に埋まっている空間としてエンジン部分や座席があります。
エンジン部分について、窓の下端がバスの高さの真ん中くらいのように思いますので、エンジン部分は全体の3割くらいでしょう。
その他の座席やハンドル部分は合わせても1割くらいではないでしょうか?
よって空間率は6割とします。
■ゴルフボールの直径と同じ長さの辺を持つ立方体の体積
基本式の立案で書いたように、ゴルフボールの直径を持つ立方体の体積を用います。
ゴルフボールの直径は5cm程度かと思うので、この立方体の体積は1/8000㎥です。
計算結果
以上から計算すると336,000個となりました。
数値検証
答えそのものの統計データはないと思いますので、検証が難しいですね。
まずスクールバスの体積について、通常のバスより小さい想定ですので、仮にマイクロバスと同じ大きさとします。こちらのメディアによると、マイクロバスの大きさ・サイズは、全長7m、車幅2.1m、車高2.6mとのことですので、体積は約38㎥です。70㎥の設定は2倍近く大きくなってしまいましたね。
特に車幅3.5mの設定がすこし大きかったようです。
(確かに3.5mだと車道をはみ出すかも)
空間率は残念ながらデータがないので、ここでは言及しません。
が、空間率60%はずれても±20%程度ではないでしょうか?
そこまでの誤差は発生していないと思います。
最後にDUNLOPのページにゴルフボール(公認球)の直径は42.67ミリ(1.68インチ)以上と記載がありました。
5cmの設定はそこまで外れていないと思います。
以上のことから、少し大きく推定してしまったように思いますが、桁がずれるほどの計算ではなかったと思います。
\面接で出題されたお題を解説/
難しかった?フェルミ推定を解くコツは?
解いてみていかがでしたでしょうか?
難しかったですかね?
難しいと感じたあなたも数を重ねれれば必ずできるようになります。
できるだけ効率よく上達したいという方はコツをあらかじめ掴んでおいた方が上達が早くなります。
フェルミ推定のコツ
- 失敗しにくい手順に沿ってフェルミ推定を行う
- 計算式の王道パターンをおさえる
- 最低限の基礎数値を覚える
- セグメントを分ける場合は意味のある単位で行う
参考:【元コンサルが解説】フェルミ推定のコツ3つ【具体例付き】
これらのコツは今回の例題の解説を読む中である程度理解できるかと思いますが、覚えるべき基礎数値は例題で触れたもの以外にもあります。
ただし、基礎数値もフェルミ推定で算出することで暗記量を減らすこともできます。
詳細は【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】を確認してください。
フェルミ推定のトレーニング方法
フェルミ推定は日々どのようにトレーニングすると効果的なのでしょうか?
実体験からやはり数をこなすことを意識するとよいです。
私が転職活動をしていた時は、「毎日1問は必ず紙に書いて解く」ことと、「歩いてる時や電車に乗っている時に頭の中で解く」ことを行うことで、一日一回の質も担保しつつ数もこなすようにしていました。
ただ、コンサルファームへの就職活動や転職活動は、フェルミ推定以外にも準備すべきものがたくさんあります。
いつまでもフェルミ推定ばかりを続けるわけにはいかないので、面接突破するのに十分なレベルに到達したと言える目安を私なりに提示すると以下のようになります。
面接突破に十分なレベルに到達したと言える目安
面接官からお題を聞いてから時間を計り始めるまでの1分前後の間で、基本式とセグメントの軸・切り口が複数思いつく
あくまで目安ですがこのスピード感を目指してトレーニングをしていきましょう。
フェルミ推定の練習問題が豊富なおすすめ本は?
フェルミ推定は練習量が大事ですが、数をこなそうにもお題を考えるのも大変です。
そんな時におすすめなのがフェルミ推定の対策本です。私は以下の3つを推しています。
この中でもとりあえず問題数をこなすなら東大生ノートが最もおすすめです。計130問のお題が載っています。一日一問解くとすると4ヶ月は持ちますね。
フェルミ推定に関するよくある質問
コンサル就職希望者向けにフェルミ推定の模擬面接を行っていた際によく聞かれた質問と回答をまとめました。
フェルミ推定は面接で何分間解くべき?
面接では何分で答えをまとめてほしいと最初に面接官に言われます。
3分〜5分くらいが多い印象ですが、10分程度の時間をもらえることもあれば、0分(面接官と議論しながら回答まで導く)こともあります。
回答時間に応じてセグメンテーションをどこまで細かくするかを調整しましょう。
時間に応じたセグメント個数ら、あくまで目安ですが、私はざっくり下記のようにしてきました。
(もちろん基本式の長さやあなたの計算スピードによって変動します)
回答時間 | セグメントの個数 |
---|---|
3分以下 | なし、もしくは2個 |
5分前後 | 4個前後 |
10分以上 | 6個〜8個程度 |
自分の回答で面接は通過する?
こればかりは何とも言えません。
完璧な回答だと思っても落ちるときは落ちますし、うまく回答できなかったと思っても突破するときは突破します。
ただ、少なくとも突破した面接に共通しているのは、回答後のディスカッションをしっかりできているような気がします。
(実際にフェルミ面接の面接官はやったことがないのでわからないですけどね…)
ですので、フェルミ推定自体がうまくできなかったとしても諦めずにその後のディスカッションも頑張りましょう。
参考:【フェルミ推定】面接官の評価ポイントと対策【転職経験者が解説】
フェルミ推定はコンサル以外の面接でも出る?
出ます。
フェルミ推定が出題される業界
- コンサル業界
- 投資銀行
- 総合商社
- 外資系企業(消費財など)
その他、リクルートなども出題されることがあると聞いたことがあります。
上記業界を受ける予定の方はしっこりと準備しましょう。
フェルミ推定の例題をたくさん解いて面接突破を目指そう
以上、フェルミ推定の例題と回答例を紹介しました!
この記事で紹介した例題は有名なお題や簡単な問題で、過去に出題されたことがあるわけではありません。
実際に面接で出題されたお題で準備したいという方は、私のnoteを見てみてください。
500円での単品販売と400円/記事でのまとめ販売があります。
\内定者の実際の回答もアリ/