本記事について
戦略コンサルへの転職経験から、
実際に面接で出た(出ると言われている)フェルミ推定の問題と、
その回答方法や面接官に突っ込まれた時の返答例をまとめています。
他に中古車の年間販売台数についてもまとめています(記事はこちら)
このお題について
難易度(3段階):★★★
マッキンゼー・デロイトの戦略部隊であるモニターグループ・KPMG FASの面接で良く出るとかでないとか(笑)
単純に見えてけっこー難しいです。
本記事の特徴
本記事を活用した面接の練習方法
そもそものフェルミ推定が全くわからないという方はまずこちらの『【まとめ|例題と解答付き】フェルミ推定とは?やり方や考え方は?』から必要な記事を読んでください。
知識ゼロの状態からフェルミ推定の面接を突破できるようになるまでの対策をまとめています。
お題再掲
では、お題を再掲します。
ミネラルウォーターの日本国内の市場規模算出(10分)
以下有料ですが、気に入らなければ24時間以内の返金も可能ですので、
ぜひ購入してみてください!
計算ロジックと計算結果
以下のステップで考えます。
1.基本式の設定・変形
今回は日本国内の市場規模。
このように、マクロな市場規模を求める際は、需要サイドから算出するのが基本です。
では需要サイドの主体は誰か?
この時ポイントになるのは、購入者ではなく、最終消費者が誰かです。
フェルミ推定をいくつも行った経験から、
購入者ではMECEに分解しにくい時が多いからです。
今回でいうと、購入者は、例えば下記が該当します。
・コンビニ等で購入する一般消費者
・ウォーターサーバーで購入する企業
それぞれの市場規模を算出することはできますが、
購入者でセグメント分けすると、両方に当てはまる人が発生する場合があります。その点を面接官に突っ込まれた場合に返答が難しくなります。
今回で言えば以下のような突っ込み。
もちろん、「両方に当てはまる人は少ないから省略した」などの返答は可能です。面接官によっては納得してくれるかもしれません。
大事なのは、どのような考え方で計算したか・それに納得感があるかです。
今回は、コンビニで買う人もウォーターサーバーから飲む場合が多々あると思うので、私が面接官なら理由付けが強引に感じてしまいます。
ということで、今回の需要者は最終消費者である個人として、式を設定します。
今回のような消耗品においては、
重要なパラメーターは、購入率と購入頻度と(1回あたりの)購入数です。
式にすると次の通りです。
この式を今回のお題に合わせて変化させていきましょう。
ちなみに、思考スピードとしての目安ですが、ここまではまだ面接官からお題を聞いている段階です。時間を計り始める前に基本式は頭に描いておきます。
※人によるかもしれませんが、私の場合は、面接官と会話している間に、「2.セグメンテーション」で使えそうな切り口も複数考えています。もちろん問題の難易度によっても異なります
ですので、時間計測開始と同時に、基本式をどう変化させるか考えるイメージです。
今回はペットボトルだけでなく、会社や自宅に設置してあるウォーターサーバーから飲む人もいます。
これらを考慮すると、購入と言う言葉よりは、
飲むという言葉の方がイメージに近いと思うので、
次のように式を変形させるのが良いかと思います。
この時注意した方が良いのが、単位です。
特に頻度や購入数(飲む量)は分母と分子が何か意識しないと計算ミスが起こる可能性が高くなります。
今回は、飲む頻度:1年あたり何日飲むか、飲む量:1日当たりの量mLと
しました。
1回あたりを単位としても良いとは思いますが、
一口しか飲まない時もあれば、コップ一杯は飲む時もあり、
複雑になりそうなので、1日当たりを基準としました。
ロジックを付けて1回あたりの量を基準として計算しても良いと思います。
以上で基本式の設定・変形は終わりです。
ちなみに、人によっては、変形後の基本式を最初から導出できる人もいるかと思いますが、私は得意ではないので、一度変形前の基本式を挟むようにしています。
2.セグメンテーション
続いてセグメンテーションです。
どこまでセグメンテーションするかは、回答時間に応じて考えます。
今回は10分なので、ある程度細かなセグメンテーションを行います。
切り口は、日頃の経験と一般的な切り口を両睨みしながら考えていきます。
今回の私の思考回路は次の通りです。思考回路そのまま書いているので、読みにくいですがご容赦をww
このような思考プロセスを経て、
今回は年齢軸をライフスタイルで切り分けます。
ここで大事なのは、年齢軸とした場合に、ただ単に0-10、10-20など単純に10歳単位に分けないことです。必ず意味のある単位に切り分けましょう。
今回の意味のある単位は、ライフスタイルです。
ちなみに、上記のようにただ単に10歳単位に分けてしまうと、何も考えていないんだなと思われてしまい、面接の評価が落ちてしまいます。
このようなセグメンテーションの注意点とその対策はこちらの記事にまとめていますので、あわせてチェックしてください。
以下に、セグメンテーションと、3.数値の設定・計算を終えた表を貼り付けます。
3.数値の設定・計算
続いて数値の設定・計算です。
正直、日本人口や世帯数など、基本的な数値を除いて、
他の数値はほぼ感覚値です(笑)
ただし、なぜその数値にしたのかの理由はしっかり考える必要があって、
「〇〇が理由だから、だいたい(感覚的に)これくらい」といった回答です。
”感覚的に”を良い感じで表現するために、
〇人あたり〇人は使用しているイメージとか、小学校のクラスで〇人は持っている感覚とか、自身の経験と結びつけたロジックを使います。
・日本人口
全体で120百万人いる&各年齢で均等に分布しているとして計算
・飲む人率
10世帯に1世帯は、ミネラルウォーターを購入して家で飲んでいる前提。
その家に住んでいる人がミネラルォーターを飲むとして、各セグメントとも基本は10%。
ただし、赤ちゃんは、半分の世帯は母乳やミルクのみで育てるとして5%。
社会人(職あり)は、会社で無料で飲めるので、飲む人率が上がり、二人に一人は飲んでいるとする。
社会人(職なし)と高齢者は家だけでなく、外で購入する機会が増えることを考慮する。ほぼ同じ値段でお茶などが買えることを考慮すると、購入率はあまり高くないと思われるので、5人に1人程度が購入すると想定。
・飲む頻度
赤ちゃんは自分の意志ではなく、親が飲ませる。
ミネラルウォーターをあえて飲ませる親なのであれば、おそらく赤ちゃんの健康などを気にして水道水はほぼ使わないと思われる。よって、二日に一回程度はミネラルウォーターを飲む(飲まされる)
その他のセグメントは、1週間に1回程度の想定で50日。
ただし、社会人(職あり)は、会社内で無料で飲めることから、1週間に2回程度は飲むと想定し、100日。
・1日当たりの飲む量
赤ちゃんは、そもそも1日当たりの水分摂取量が少ないと思うので、
飲むとしてもコップ一杯(200mL)の半分程度で100mL。
幼児、学生は、飲む日はコップ一杯程度は飲むと想定し200mL
社会人以降は500mLペットボトル分は飲むと想定し500mL。
・単価
自身がイメージできる500mLペットボトルの値段を参考に考える。
500mLで100円くらいのため、1mLあたり0.2円とする。
ウォーターサーバー等だと1mLあたりの値段がもっと安くなると思うが、そこまでの差はないとして全て0.2円とする。
以上を計算すると、2,540億円(端数を端折りつつの計算)になりました。
時間を確認すると約8分で答えを出していました。
面接であれば、残り時間は、計算ミスの確認と、突っ込みポイントへの返答を考えます。
実際の数値と振り返り
矢野経済研究所のレポートに、2017年度の市場規模の記載がありました。
2,950億円とのことです。
推定結果とだいぶ近い数字になりました。
もちろん、フェルミ推定はあくまで思考過程を見るものです。実際の数値と近かったからと言って面接を通過するわけではありません。
個人的には桁が同じであればほぼ問題ないかなと思っています。
さて、振り返りですが、特に難しかったのは、飲む頻度です。
ミネラルウォーターを家の冷蔵庫に入れている人などの定常的に飲む人をあまり考慮できていないなと、数値を設定しながら感じていました。
ですので、今回は別案として、嗜好性(どれだけ定常的にミネラルウォーターを飲むか)で分けても良かったかもしれません。
簡単に計算してみると下記表のようになり、3,980億円となりました。悪くない結果です。
補足までに、家にミネラルウォーターを置いている人の飲む量が少なく見えますが、あえて外でミネラルウォーターは買わないかなと思ったので、少なくしてます。その他の数値の設定根拠は省略。
このように、他に良い計算式・切り口がないかは、練習の段階から意識しておいた方が良いです。
面接でも「他にどのような切り口を考えたか?」みたいによく聞かれます。
面接でよく聞かれる質問と返答例
さて、面接では答えを出して説明して終わりではなく、
そこからディスカッションが始まります。
個人的な感覚としては、ここまでのロジックは大外れしていなければ、そこまで重要視されていない印象です。むしろ、ディスカッションでどれだけ返答できるかを見ているように感じます。
今回は、特によく聞かれる3つの質問と返答例を記載します。
1.この推定結果は妥当か
よく聞かれる&面接官(もしくは会社)によってどこまで深堀してくるかが異なり、個人的には一番答えにくい質問です。
他の計算方法で検算できたら良いのですが、その検算方法の妥当性はどうなのかとなってしまい、やろうと思えば延々と深堀できてしまうためです。
ですので、私の場合は、どの問題においても以下の方法で検算した上で、
まだ納得されていないようであれば、他の方法を考えています。
その他の方法としてよく使うのは下記です。
今回であれば、以下のように回答すると思います。
2.他にどのような計算式を考えたか
1番と似ていますが、こちらの意図としては、
「他にも計算式が考えられたにも関わらず、なぜその式で計算したのか?」ということです。
有名なディズニーランドの入場客数の問題においては、
ゲートを通った人の数で考えるか、舞浜駅に来る電車と駐車場のキャパシティから考えるか、はたまた日本人の利用率・利用頻度から考えるか、などです。
今回のお題ならば、以下のように回答すると思います。
3.より精度を上げるにはどうするか
基本的な回答の流れは、
今回の推定で一番精度が低そうな値⇒その改善方法です。
(あるセグメントの数値全部が低くなる場合や、ある項(購入頻度など)の数値全部が低くなる場合もあります)
一番精度が低そうな値の見分け方ですが、
実際に数値を設定する中で、設定しづらかった箇所や理屈が弱かった箇所が該当する場合が多いです。
今回でいえば、飲む頻度が設定しづらく、多分精度が低いと思います。
ですので、以下のように回答すると思います。
以上、いかがでしたでしょうか?
案外、書いてみたら文字数が非常に多くなってしまいました(笑)
最後までお読みくださりありがとうございます!
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また、他にもフェルミ推定の例題を解説していますので、気になった方は是非確認してみてください!
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