本記事について
戦略コンサルへの転職経験から、実際に面接で出た(出ると言われている)フェルミ推定・ケース面接の問題と、その回答方法や面接官に突っ込まれた時の返答例をまとめています。
今回は「新品ベビーカーの市場規模」です。
このお題について
PwCの戦略部門Strategy&で出題されたことがあるようです!
自己紹介などで子供に関する話をする方は、同じお題が出される可能性があります!
本記事の特徴
本記事の信頼性
本記事を書いている私は、過去に戦略コンサルへの転職活動を行っていました。(色々あって結局辞退しています)
初めの頃は面接に落ちまくっていましたが、どうしたらできるようになるか必死に考え、練習を重ねてきました。
結果、20社弱の戦略ファームを受けることになりましたが、最後の方はほぼ確実に面接を突破できるようになっていました。
これだけのファームを受けている方は、良くも悪くもいないと思います。豊富な実践経験を基に解説しますので、ある程度信頼のおける内容になっているかと思います。
本記事を活用した面接の練習方法
そもそものフェルミ推定が全くわからないという方は、まずこちらの『【まとめ|例題と解答付き】フェルミ推定とは?やり方や考え方は?』を読んでください。
知識ゼロの状態からフェルミ推定の面接を突破できるようになるまでの対策をまとめています。
お題再掲
では、お題を再掲します。
参考になると思いますのでぜひ読んでみてください!
計算ロジックと計算結果
『【初心者必見】フェルミ推定の5つの手順【例題あり】』に書いてあるように、フェルミ推定は以下のステップで考えます。
今回のお題も同じステップで考えます。
1.前提確認
お題の前提や言葉の定義を確認します。
具体的には、お題の範囲(世界or日本or東京など)や期間(1年間or1日など)です。
今回で言えば、日本の1年間ですね。
場合によってはベビーカーの定義を確認しても良いかもしれません。
ちなみに、前提条件は面接官から教えてもらえることが多いので、このステップはそこまで重要ではないです。
ただ、別の意味で重要なステップです。
それはこのステップの間に、続きの基本式の設定やセグメンテーションを考えられることです。
このステップは、面接中においては、時間を計り始める前に行います。
私はそこまで頭の回転が速い方ではないので、この前提確認の時間をうまく利用して、この後の基本式の設定やセグメンテーションの候補を考えていました。
私みたいに頭の回転の速さにそこまでの自信がない方は、時間稼ぎ的にお題の範囲(日本国内で良いですよね?)や期間(もちろん1年間ですよね?)を聞くのもアリだと思います。
2.基本式の設定
今回は日本国内の新品ベビーカーの市場規模。
『フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説』に掲載した基本式の正解パターンのうち、「②-1市場浸透型」に該当しますので、基本式は以下の通りになります。
参考までにやり方の記事に掲載した「基本式の正解パターン」を再掲します。
この式を今回のお題に合わせて変化させていきましょう。
ベビーカーは世帯単位で保有するものなので、今回のベースは世帯とします。変形後の基本式は次の通りです。
今回のポイントの一つは新品選択率ですね。あくまで新品のベビーカーの市場規模が対象なので、中古ベビーカーは含みません。そのため、新品選択率を式に加えることで、中古ベビーカーの市場規模を省きます。
また、今回はあまり気にしなくても良いですが、単位が何かは意識するようにしましょう。
項目の抜け漏れや計算ミスに気づきやすくなります。
以上で基本式の設定・変形は終わりです。
ちなみに、人によっては、変形後の基本式を最初から導出できる人もいるかと思いますが、私は得意ではないので、このように一度変形前の基本式を(頭の中で)挟むようにしています。
3.セグメンテーション
続いてセグメンテーションです。
どこまでセグメンテーションするかは、回答時間に応じて考えます。
今回は5分ですが項目が多いので、2~3セグメントくらいを目安に切り口を考えます。
切り口は、日頃の経験と一般的な切り口を両睨みしながら考えていきます。
今回の私の思考回路は次の通りです。思考回路そのまま書いているので、読みにくいですがご容赦をww
このような思考プロセスを経て、今回は「その世帯にいるベビーカーを利用する子供の人数」で切り分けます。
個人的には切り口を考える段階で、上記のように幅広く思考(妄想?)しておくことをオススメします。
次の「4.数値の設定・計算」において、数値を設定する時の根拠になるからです。
そしてなによりも、面接においては、フェルミ推定だけで終わることは少ないです。
だいたいこの後に「売上を伸ばすためには」とか「販売数を伸ばすためには」といったケース問題に繋がります。その方向性を考えるきっかけになります。
しかも考える時間を確保してくれない時が多いので、あらかじめざっくり考えておくことが重要です。
以下に、セグメンテーションを終えた表を貼り付けます。
今回は、ベビーカー対象年齢の子供の数によって保有台数や新品選択率が変化しそうなため、以下の2区分にセグメンテーションして計算します。
・1人
・2人以上
2人以上としている(2人、3人と分けていない)のは、ベビーカー対象年齢(0歳から3歳)に3人以上いるのは特殊と考えた(セグメント数が非常に小さい)ので、分けて計算しても精度向上に貢献しないと考えたためです。
また、今回は0人の場合はベビーカーは保有していないと考えているので、セグメンテーションから外しています。
このように、セグメンテーションは機械的に行うのではなく、目的(今回であれば精度の高い推定)に即して行うことが重要です。
ちなみに、セグメンテーションにありがちな失敗例とその対策は『フェルミ推定のセグメンテーション【失敗例と回避方法】』にまとめています。
セグメンテ―ションが上手くできない方はチェックしてみてください。
4.数値の設定・計算
続いて数値の設定・計算です。
正直、日本人口や世帯数など、基本的な数値を除いて、他の数値はほぼ感覚値です(笑)
ただし、なぜその数値にしたのかの理由はしっかり考える必要があって、「〇〇が理由だから、だいたい(感覚的に)これくらい」といった回答が必要です。
”感覚的に”を良い感じで表現するために、
・〇人あたり〇人は使用しているイメージ
・小学校のクラスで〇人は持っている感覚
などの自身の経験と結びつけたロジックを使います。
■日本世帯
まずベビーカーに乗る年齢の子供(3歳以下)の人数を考える。
年間産まれる子供の人数は、子供を産める年齢の女性の人数×合計特殊出生率÷子供を産める期間(年)で求められるので、
・子供を産める年齢の女性の人数
20代~40代の女性人口。80歳まで生きるとして全体の3/8なので、12,000万人÷2×3/8≒2,200万人
・合計特殊出生率:1.5
・子供を産める期間:30
で計算すると、
2,200万人×1.5人÷30年≒105万人。
学校を思い出すとクラスの7割くらいは兄弟がいたように思う。だいたい3歳差以内だった。
まだ弟や妹が産まれていないだけの子や、兄や姉が4歳以上になった子もいると思うので、105万人×4歳のうち、一人の世帯と、二人以上の世帯に半々ずついると考える。
よって、それぞれ420万世帯のうち、
・一人世帯:ざっくり200万世帯
・二人以上世帯:100万世帯(200万人÷2人/世帯)
■保有率
保有率は人数によらず保有していると思うのでどちらも100%とする。
■保有数
・ベビーカー対象年齢の子供が一人:1台
・ベビーカー対象年齢の子供が二人以上:1.5台(みんながみんな二人目の子供用のベビーカーを買うとは限らないので)
■買い替え頻度
子供の成長に合わせて3年に1回くらいは買い替える人がいると想定。半分の人が買い替えるとして、買い替え頻度は1/6とする。
■新品選択率
一人目から中古を購入する人は少ない気がする。一方、二人目だと中古でもいいやってなる人もある程度はいそう。
ベビーカーの操作性や軽さを求め、新品のベビーカーを購入する世帯は全体の中で80%はいると想定。
・ベビーカー対象年齢の子供が一人:100%
・ベビーカー対象年齢の子供が二人以上:80%
■単価
安くて数千円〜高くて6万円の想定。
・一人目の時は機能性も重視した高単価なものを購入する印象である
⇒5万円
・二人目以降の時は一人目のベビーカーで要らない機能などもわかってきたので、少し安めのものを購入すると想定。
⇒2万円
以上を計算すると、190億円(端数を端折りつつの計算)になりました。
計算を終えた表を掲載します。
面接であれば、残り時間は、計算ミスの確認と、突っ込みポイントへの返答を考えます。
実際の数値と振り返り
経済産業省が出しているベビーカー産業の現状について(平成30年3月29日)の3枚目にベビーカーの年間販売台数の数値がありました。
ベビーカーの年間販売台数は60〜70万台とのことです。新品ベビーカーで絞ると、もう少し数値が落ちるのではないでしょうか。
今回の計算式で単価をかける前の数値を出すと50万台(30万台+20万台)なので、まずまずの推定結果かと思います。
あと、育児中のベビーカー事情をアンケート調査! パパママの生の声を聴いてみました!に各種パラメーターの参考数値が載っていました。
新品ベビーカーを購入した人が想定より少な目な印象です。これで推定結果がちょっと大きくなったかもしれません。
フェルミ推定はあくまでも思考過程を見るものですので、実際に数値との近さは、面接の評価にそこまで関係ありません。
個人的には、桁が同じであればほぼ問題ないかなと思っています。
さて、振り返りですが、今回は基本式の設定が難しかったです。
耐久品の市場浸透型で考えましたが、よく考えると、赤ちゃんが産まれたときに購入する場合と、途中で買い替える場合で、購入率や単価などが大きく異なる気がします。
ですので、もしもう一度解くなら、以下の2式で考えたかもしれません。
ただ、この場合だと、1歳以上で初回購入する場合の数が含まれていませんね…ん-難しい。面接で突っ込まれたら、初回購入する人はほぼ0歳の時に購入するので1歳以上で初回購入する人の数は除外した、と答えると思います。
皆さんもいい方法があればぜひ教えてください。
面接でよく聞かれる質問と返答例
最後に面接でよく聞かれる質問と返答例です。
個人的な感覚として、ここまでのロジックについては、大外れしていなければ、そこまで重要視されていない印象です。
むしろ、ディスカッションでどれだけ返答できるかを見ているように感じます。
今回の面接では、実は特に突っ込みがなく、次のお題に移ったので、よく突っ込まれるポイントについて、今回のお題ならどう返答するかを解説します。
ちなみに、よく突っ込まれるポイントとその返答方法は、『フェルミ推定の面接対策:面接官の突っ込みポイントへの回答方法』にまとめてあります。以下の返答例とあわせてチェックしておくことをオススメします。
■推定結果は妥当か?
今回は、「その市場の一社当たりの売上高から妥当性を示す」でやってみましょうか。
ベビーカーの主要メーカーは、コンビ・アップリカ・ピジョン・エアバギー……ともう1社くらいはあるでしょう。今回は5社として考えます。
シェアがほぼ同様とすると1社あたり20%ですので、売上は、約40億円。
新品に絞らなければもう少し高いかと思いますが、大企業の一事業としては妥当な売上高と言えそうです。(これにほんとに?と言われたら苦しいんですけどねw)
他にも台数ベースに直して検証する方法も良いかもしれません。振り返りで書いたように年間約50万台のベビーカーが売れていることになります。
年間出生者数は約100万人ですから、その半分は新品ベビーカーを購入することになります。
感覚的にもう少し多くの人が新品ベビーカーを購入するような気がしますが、ずれても1.5倍程度で、ある程度の精度は高いように思います。
■他にどのような計算式を考えたか?
振り返りで書いたように、初回購入需要と買い替え需要で分けて計算すると答えるかと思います。
■より精度をあげるにはどうすればよいか?
移動手段の異なる都会/田舎で数値が異なると想定されるため、さらに都会/田舎で分けると答えるかと思います。
以上、いかがでしたでしょうか?
最後までお読みくださりありがとうございました!
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また、他にもフェルミ推定の例題を解説していますので、気になった方は是非確認してみてください!
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