戦略コンサルへの転職経験から、実際に面接で出た(出ると言われている)フェルミ推定・ケース面接の問題と、その回答方法や面接官に突っ込まれた時の返答例をまとめています。
今回は「紙コップの市場規模(日本国内)」です。
目次
このお題について
BCGの一次面接で実際に出ました!
時間が3分だったので焦りましたが、本記事の回答によりなんとか面接を突破しました。
BCGを受ける予定の方は特に一度解いてみることをおすすめします。
本記事の特徴
カラクリ(初代管理人)プロフィール
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総合コンサルファームに5年間勤務
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戦略ファームへの転職活動の経験もあり
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自身の経験を基にしてコンサル未経験者がコンサルファームに転職するためのブログ『カラクリブログ』初代管理人
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現在は中小企業コンサルとして独立(準備)中
本記事を活用した面接の練習方法
なお、そもそものフェルミ推定が全くわからないという方は、まずこちらの『【まとめ|例題と解答付き】フェルミ推定とは?やり方や考え方は?』を読んでください。
知識ゼロの状態からフェルミ推定の面接を突破できるようになるまでの対策をまとめています。
お題再掲
では、お題を再掲します。
私が面接を通過した際の回答を記載していますので、非常に参考になると思います!ぜひ読んでみてください!
計算ロジックと計算結果
【初心者必見】フェルミ推定の5つの手順【例題あり】の記事に書いてあるように、フェルミ推定は以下のステップで考えます。
今回のお題も同じステップで考えます。
1.前提確認
お題の前提や言葉の定義を確認します。
具体的には、お題の範囲(世界or日本or東京など)や期間(1年間or1日など)です。
今回で言えば、日本国内で、1年間ですね。
ちなみに、前提条件は面接官から教えてもらえることが多いので、そこまで重要ではないです。
ただ、別の意味で重要なステップです。
それはこのステップの間に、続きの基本式の設定やセグメンテーションを考えられることです。
このステップは、面接中においては、時間を計り始める前に行います。
私はそこまで頭の回転が速い方ではないので、この前提確認の時間をうまく利用して、この後の基本式の設定やセグメンテーションの候補を考えていました。
私みたいに頭の回転の速さにそこまでの自信がない方は、時間稼ぎ的にお題の範囲(日本国内でいいですよね?)や期間(年間の金額ですよね?)を聞くのもアリだと思います。
2.基本式の設定
今回は紙コップの市場規模。
フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説の記事に掲載した下記の基本式の正解パターンのうち、「消耗品型」に該当します。
ですので、基本式は以下の通りになります。
この式を今回のお題に合わせて変化させていきましょう。
まずはベースを何にするかです。
紙コップを使用するのは個人ですから、日本人口とし、購入を消費に置きかえて考えるのが定石かなと思います。
が、各個人がどれだけ紙コップを使用するのかがちょっと考えにくいので、少しひねることにします。
(もちろんうまく考えられる人はひねらずに次のステップに進んでもいいと思います)
紙コップは何かを飲む時に使用するコップの一種類と考えてシェアから算出することにします。
具体的には下記です。
基本式との比較は下記のとおりです。
これに紙コップ選択率が追加されているイメージです。
以上で基本式の設定・変形は終わりです。
ちなみに、人によっては、変形後の基本式を最初から導出できる人もいるかと思いますが、私は得意ではないので、このように一度変形前の基本式を(頭の中で)挟むようにしています。
3.セグメンテーション
続いてセグメンテーションです。
どこまでセグメンテーションするかは、回答時間に応じて考えます。
今回は3分なので、分けるとして2セグメントですが、基本式の設定で時間をかけてしまったので、セグメンテーションせずに計算することにします。
なお、セグメンテーションを実際にしなかったとしても、もしセグメンテーションするならどうするか?をできるだけ幅広く思考(妄想?)しておくことをオススメします。
次の「4.数値の設定・計算」において、数値を設定する時の根拠になるからです。
そしてなによりも、面接においては、フェルミ推定だけで終わることは少ないです。
だいたいこの後に「売上を伸ばすためには」とか「販売数を伸ばすためには」といったケース問題に繋がります。その方向性を考えるきっかけになります。
しかも考える時間を確保してくれない時が多いので、あらかじめざっくり考えておくことが重要です。
実際に面接を受けてる時の私の頭の中はこんな感じでした。
頭の中をそのまま書いているので、読みにくいですがご容赦をww
こんな感じです(笑)
ちなみに、セグメンテーションにありがちな失敗例とその対策はフェルミ推定のセグメンテーション【失敗例と回避方法】にまとめています。
セグメンテ―ションが上手くできない方はチェックしてみてください。
4.数値の設定・計算
続いて数値の設定・計算です。
正直、日本人口や世帯数など、基本的な数値を除いて、他の数値はほぼ感覚値です(笑)
ただし、なぜその数値にしたのかの理由はしっかり考える必要があって、「〇〇が理由だから、だいたい(感覚的に)これくらい」といった回答が必要です。
”感覚的に”を良い感じで表現するために、
・〇人あたり〇人は使用しているイメージ
・小学校のクラスで〇人は持っている感覚
などの自身の経験と結びつけたロジックを使います。
なお、私は下記の7つの基礎数値しか覚えておらず、あとはその場で推定しています。
詳しくは【暗記不要】フェルミ推定の基礎数値一覧【超簡単:7つのみ】にまとめていますので、チェックしてください。
ではそれぞれの数値を当てはめていきましょう。
■日本人口
ここは基礎数値として覚えているのを使用。
1億2,000万人。
■飲み物を飲む回数
一日当たり2L飲み物を飲むとする。
一回あたりコップ一杯程度(250ml)とすると、8回/日。
■紙コップ選択率
各種イベント、カフェ、会社のドリンクサーバーなどで使用する想定。
使うとしても平均1個くらいとして、半分の人は全く使わないとする。
そうすると1/8回×1/2人で、約6%。
■単価
100個で300円くらいで売られているイメージなので、3円/個。
以上を計算すると、600億円(端数を端折りつつの計算)になりました。
計算を終えた表を掲載します。
面接であれば、残り時間は、計算ミスの確認と、突っ込みポイントへの返答を考えます。
実際の数値と振り返り
ネット検索だけでは紙コップの日本国内の市場規模は出てきませんでした。
ただ、いくつか近い参考になる統計があったので、これを基に考えてみます。
先に結論を書いておくと、3つの方法で計算した結果、70億円~100億円くらいになりました。
①輸入統計から推計する
統計品目番号4823.61-000と4823.69-000が「紙製又は板紙製の盆、皿、コップその他これらに類する製品」みたいです。
今回はコロナを意識せずに計算していますので、コロナ前の2019年1月~12月の値を参考にすると、127億円とのこと。
ただこの中には紙皿も含まれている一方、国内生産の紙コップは含まれていません。
紙皿は主にアウトドアのみかなと思いますが、カフェやコンビニでの紙コップ需要を考えると半分以上は紙コップだと思います。
また、国内生産品は、感覚ですが、輸入品よりも少ないのではないでしょうか?(単価は高いかもだけど)
これらを考慮すると、127億円よりちょっと少ないかなという気もするので、約100億円程度とします。
なお、財務省貿易統計の検索ページに上記統計品目番号や対象年を指定することで調べることができます。
②主要な利用シーンから推計する
主要な利用シーンとして次の2つの金額を合計してみましょう。
(パッとググって出てきたもの)
-
コンビニコーヒー
-
カフェチェーン
②-1.コンビニコーヒー
現代ビジネスに2016年のコンビニコーヒーの市場規模がありました。
約2,000億円とのこと。一杯100円とすると、年間20億杯売れている計算になります。
8割くらいがホットコーヒー(紙コップ使用)として紙コップ単価を3円すると、約50億円になります。
②-2.カフェチェーン
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの報告書に、カフェチェーンが使用した2020年の紙コップの個数の推計が載っています。
各社の紙の個数を合計すると約1.3億個ほど。これに単価3円をかけると、約4億円になります。
上記2つの合計で約55億円です。
これら以外に、アウトドアでの使用や、オフィス内ドリンクでの使用が大きいと思われますが、2倍にはならないのではないでしょうか。
ですので、ここではざっと70億円~100億円くらいになるとしておきましょう。
③世界の紙コップの市場規模から考える
株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、世界の紙コップの市場規模は、2021年に2,602億個とのことです。
日本は利用シーンこそ多そうですが、人口はそこまで多くないですので、仮に1%程度のシェアとすると26億個です。
これに単価3円をかけると約81億円になります。
以上、3つのアプローチで超ざっくり市場規模を確かめてみましたが、まとめると、70億円~100億円くらいということになりそうです。
フェルミ推定結果は600億円ですので、ちょっと高く出てしまったかな、という感じです。
フェルミ推定はあくまで思考過程を見るものですので、実際の数値と近さは、面接の評価にそこまで関係ありません。
(実際、この面接は通過しています)
さて、振り返りですが、今回は、基本式の設定にまず悩みました。
紙コップは利用シーンがわりと限定されますので、各シーンごとの年間使用数を出して積み上げるのもありかなと思いましたが、どうしても漏れが出てしまいますしね。
さらに、日本人口をベースとして消耗品型とするのも、一人がどれだけ紙コップを使用するか考えにくかったです。
そんなこんなで一日に飲む水分のうち、紙コップを使って飲む割合を考えることで算出しています。
また、数値設定では紙コップ使用率が難しかったです。
ここをもう少し細かく計算すると、精度が高くなったと思います。
ここは面接官に突っ込まれたポイントなので次章で触れます。
面接でよく聞かれる質問と返答例
最後に面接でよく聞かれる質問と返答例です。
個人的な感覚として、ここまでのロジックについては、大外れしていなければ、そこまで重要視されていない印象です。
むしろ、ディスカッションでどれだけ返答できるかを見ているように感じます。
実際に本お題が出された時に突っ込まれたポイントは1つだけだったので、今回はその質問と回答例を記載します。
ちなみに、よく突っ込まれるポイントとその返答方法は、フェルミ推定の面接対策:面接官の突っ込みポイントへの回答方法にまとめてあります。
その他の突っ込みポイントへの回答方法が気になった方はチェックしてみてください。
より精度を上げるにはどうすればよいか?
正確には「今回のポイントは紙コップ選択率だね。この精度を高めるにはどうしたらいい?」でした。
まぁ、他の数値はほぼ定数だったりで、ブレるとしたら、選択率か飲む回数くらいですからね。
以下のように回答しました。
何度か突っ込みくるのかな、と思ったのですが、特に突っ込みはなく「紙コップの市場拡大戦略(2分)」に移りました。
あまりフェルミは重視していないのかもしれません。
(紙コップの市場拡大戦略の記事もそのうち書きます)
以上、いかがでしたでしょうか?
最後までお読みくださりありがとうございました!
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また、他にもフェルミ推定の例題を解説していますので、気になった方は是非確認してみてください!
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