本記事について
戦略コンサルへの転職経験から、実際に面接で出た(出ると言われている)フェルミ推定・ケース面接の問題と、その回答方法や面接官に突っ込まれた時の返答例をまとめています。
今回は「日本国内のバスケットボール競技人口」です。
このお題について
いわゆる趣味系の問題ですが、面接官によっては応募者に趣味を聞き、それに関連したお題を即興で出すこともあります。
ですので、趣味がバスケの方は面接で出題される可能性があります。
本記事の特徴
1.実際の戦略コンサルの面接で出たことのあるお題を中心に使用
⇒今後も出る可能性の高いお題を練習できる
2.戦略コンサル転職経験者が回答例を記載
⇒面接を突破するためにどの程度の回答でよいかわかる
3.実際の統計データも調べて推定結果と比較
⇒実際の規模感も把握できるので、類似お題が出た時の”アタリ”がつけやすくなる
4.面接官から良く突っ込まれるポイントとその返し方を記載
⇒面接官とのディスカッションの準備ができる
※実際の面接の通過状況から、4が一番重要だと感じています本記事の信頼性
本記事を書いている私は、過去に戦略コンサルへの転職活動を行っていました。(色々あって結局辞退しています)
初めの頃は面接に落ちまくっていましたが、どうしたらできるようになるか必死に考え、練習を重ねてきました。
結果、20社弱の戦略ファームを受けることになりましたが、最後の方はほぼ確実に面接を突破できるようになっていました。
これだけのファームを受けている方は、良くも悪くもいないと思います。豊富な実践経験を基に解説しますので、ある程度信頼のおける内容になっているかと思います。
本記事を活用した面接の練習方法
1.指定した時間で回答を考えてみる
※わからなくてもとりあえず答えを出すことが、上達の上でも、実際の面接対策の上でも重要です
2.筆者の回答例と比較する
3.面接でよく聞かれる質問を確認し、自分ならどう答えるか考える
4.筆者の回答例と比較する
そもそものフェルミ推定が全くわからないという方は、まず『【まとめ|例題と解答付き】フェルミ推定とは?やり方や考え方は?』を読んでみてください。
知識ゼロの状態からフェルミ推定の面接を突破できるようになるまでの対策をまとめています。
お題再掲
では、お題を再掲します。
日本国内のバスケットボール競技人口(検討時間10分)
参考になると思いますのでぜひ読んでみてください!
計算ロジックと計算結果
【初心者必見】フェルミ推定の5つの手順【例題あり】で書いてあるように、フェルミ推定は以下のステップで考えます。
1.前提確認
2.基本式の設定
3.セグメンテーション
4.数値の設定・計算
5.現実性検証
今回のお題も同じステップで考えます。
1.前提確認
お題の前提や言葉の定義を確認します。
具体的には、お題の範囲(世界or日本or東京など)や競技頻度(1年間に何回or週に何回)です。
お題の範囲は日本ということは既にわかっています。
しかし競技人口の概念が曖昧であるため、1年間に何回や週に何回実施すれば競技人口に含めて良いのかを確認する必要があります。
今回で言えば、「年に1回以上バスケをしている人」と設定します。
部活動はもちろん、社会人になってからも会社のサークルや趣味レベルで時々バスケする人も含むイメージです。ただし、体育の授業など受動的に行っているものは除きます。
ちなみに、前提条件は面接官から教えてもらえることが多いので、このステップはそこまで重要ではないです。
ただ、別の意味で重要なステップです。
それはこのステップの間に、続きの基本式の設定やセグメンテーションを考えられることです。
このステップは、面接中においては、時間を計り始める前に行います。
私はそこまで頭の回転が速い方ではないので、この前提確認の時間をうまく利用して、この後の基本式の設定やセグメンテーションの候補を考えていました。
私みたいに頭の回転の速さにそこまでの自信がない方は、時間稼ぎ的にお題の範囲(日本国内で良いですよね?)や競技頻度(1年間に1度でも実施すれば競技人口に含める認識で良いですか?)を聞くのもアリだと思います。
2.基本式の設定
今回は日本国内のバスケットボール競技人口。
基本式は以下の通りになります。
今回は上記のようなシンプルな式で算出すれば問題ないかと思います。
ただ常に単位が何であるかは意識するようにしましょう。
項目の抜け漏れや計算ミスに気づきやすくなります。
今回のような人口算出などではなく、市場規模の算出などではより式が複雑になりますので以下の記事を参考に基本式のパターンを練習していただけると様々なお題に応用が効くと思います。
フェルミ推定にはパターンがある!頻出3+1パターンを解説
以上で基本式の設定は終わりです。
3.セグメンテーション
続いてセグメンテーションです。
どこまでセグメンテーションするかは、回答時間に応じて考えます。
切り口は、日頃の経験と一般的な切り口を両睨みしながら考えていきます。
今回の私の思考回路は次の通りです。思考回路そのまま書いているので、読みにくいですがご容赦をww
このような思考プロセスを経て、今回は年齢軸と性別軸で切り分けます。
個人的には切り口を考える段階で、上記のように幅広く思考(妄想?)しておくことをオススメします。
次の「4.数値の設定・計算」において、数値を設定する時の根拠になるからです。
そしてなによりも、面接においては、フェルミ推定だけで終わることは少ないです。
だいたいこの後に「売上を伸ばすためには」とか「販売数を伸ばすためには」といったケース問題に繋がります。その方向性を考えるきっかけになります。
しかも考える時間を確保してくれない時が多いので、あらかじめざっくり考えておくことが重要です。
以下に、セグメンテーションを終えた表を貼り付けます。
今回は、上記表のように男女別で、年齢層は4つに分けて考えました。
ざっくりですが、0~19歳は学生、20~39歳は社会人という想定でこの年齢層の分け方にしてみました。
ちなみに、セグメンテーションにありがちな失敗例とその対策はフェルミ推定のセグメンテーション【失敗例と回避方法】にまとめています。
セグメンテーションが上手くできない方はチェックしてみてください。
4.数値の設定・計算
続いて数値の設定・計算です。
正直、日本人口など、基本的な数値を除いて、他の数値はほぼ感覚値です(笑)
ただし、なぜその数値にしたのかの理由はしっかり考える必要があって、「〇〇が理由だから、だいたい(感覚的に)これくらい」といった回答が必要です。
感覚的に”を良い感じで表現するために、
・〇人あたり〇人は競技しているイメージ
・小学校のクラスで〇人は競技していた感覚
などの自身の経験と結びつけたロジックを使います。
■日本人口
全体で12,000万人。
各年代の人数が同一と仮定して、4セグメントなので、4等分。
全てのセグメントで、3,000万人。性別でさらに2等分して1,500万人。
■競技人口比率
以下の3つを仮定して数値を設定する。
■女性の競技人口比率
0-19歳:
0~19歳の競技人口に関してですが、学生時代に女子バスケ部がある学校は多いと思います。
また以下の比率を元に算出します。
・5歳以上から競技可能:3/4
・女性の100人に5人くらいがバスケ部(経験則):1/20
⇒3/4×1/20=4%(60万人)
20-39歳:
社会人になってから始める方はほとんどいないと仮定します。
また社会人になると、学生時代から続ける方も私の経験上かなり少なかったと思います。
それでも年に一度は運動のためバスケをすると仮定した上で0-19歳の競技人口の半数である2%とします。
⇒2%(45万人)
40-59歳、60歳以上:
40歳以上ではほとんどバスケをやっている女性の方はいないと思いますので、0%とします。
■男性の競技人口
0-19歳:
以下の比率を元に算出します。
・5歳以上から競技可能:3/4
・男性の10人に1人くらいがバスケ部(経験則):1/10
⇒3/4×1/10=8%(120万人)
20-39歳:
0-19歳でバスケをやっていた人の半分以上(3/5)が継続すると想定します。
また、新規で始める人も男性の100人に一人ほどいると想定。
0~19歳での式を活用し、以下算出します。
⇒3/4×1/10×3/5+1%≒6%(90万人)
40-59歳:
体力の衰えや家庭を持つことにより、バスケへの優先度は半減以上(1/4程度)すると想定します。
⇒6%×1/4≒2%(30万人)
60歳以上:
ゴルフやランニングなどに切り替える人がほとんどだと思いますのでほとんどバスケ競技人口はいないと仮定します。
⇒0%(0人)
以上を計算してセグメントした表に集計しました。
したがって人数は以下の値となります。
面接であれば、残り時間は、計算ミスの確認と、突っ込みポイントへの返答を考えます。
実際の数値と振り返り
笹川スポーツ財団の記事には、20歳以上の男女で年に1回以上バスケしている競技人口は218万人とありました。
20歳以上だけで絞ると、私の数値は上記記事の数値より男女合わせて50万人ほど足りていませんでした。
部活動に所属している人だけをカウントしていたり、女性の60歳以上でも1%ほどバスケをしているという事実などで少しずつ乖離が発生していたのだと思います。
フェルミ推定はあくまで思考過程を見るものですので、実際の数値と近さは、面接の評価にそこまで関係ありません。
個人的には桁が同じであればほぼ問題ないかなと思っています。
さて、振り返りですが、今回は、セグメントの切り方も性別と年齢別という一般的な軸で進めることができるので、比較的難度は低かったかと思います。
ただ0~19歳、20~39歳でセグメントをすると、高校までバスケをしていた人はそのまま大学や専門学校などで継続する可能性が高いためもっと時間があれば、
・高校→進学
・高校→社会人
の2パターンに分けても良いかなと思いました。
加えて、今回は計算のしやすさと意味のあるセグメントの単位を両立するために20歳ずつで区切りましたが、よりライフスタイルを意識して
・学生(6-18)
・大学生 or /社会人(19-22)
・若手社会人(23-39)
・ベテラン社会人(40-59)
・高齢者(60-)
で分けるともっと精度があがったかもしれません。
あとは自身の経験則を具体的に加えて、数値に信憑性を持たせましょう。
面接でよく聞かれる質問と返答例
最後に面接でよく聞かれる質問と返答例です。
個人的な感覚として、ここまでのロジックについては、大外れしていなければ、そこまで重要視されていない印象です。
むしろ、ディスカッションでどれだけ返答できるかを見ているように感じます。
ちなみに、よく突っ込まれるポイントとその返答方法は、フェルミ推定の面接対策:面接官の突っ込みポイントへの回答方法にまとめてあります。以下の返答例とあわせてチェックしておくことをオススメします。
■推定結果は妥当か?
人気スポーツのシェア率から推定結果の妥当性を検証してみました。
学生であれば、サッカー、野球、バスケ、テニス、バレーボール
社会人であれば、ゴルフ、ランニング、フットサル
あたりが人気のスポーツだと思います。
上記のうちバスケのシェア率をそれぞれ
・学生:15%
・社会人:3%
と仮定し、日本の総人口のうち半数が何らかのスポーツを年に1回行うとすると
・学生:0-19歳の人口(3,000万人)×50%×15%=225万人
・社会人:20歳以上の人口(9,000万人)×50%×3%=135万人
⇒合計して360万人
年齢と性別でセグメントした数値と近い値を得ることができました。
シェア率は自分の経験を元に感覚値で導き出すので、面接中時間がある際に、回答の妥当性を補足する手段として準備できれば面接官も納得すると思います。
推定結果の数値の妥当性は上記で補足すれば問題ないですが、面接官によっては数値を算出するにあたっての前提条件に突っ込んできます。
例えば今回であれば、0-19歳の時にバスケ部、またはサークルなどに所属していた人をメインに、その人が社会人になってからも継続するかどうかを割合変動の主軸に置いていました。
「大人になってからバスケを始める人はいないの?」というような突っ込みが考えられます。
この点を突っ込まれた場合はバスケットボールというスポーツの特性から回答できます。
例えば下記のような回答です。
お題が「年に一回以上ランニングをしている人」であれば、大人になってからでも取り組みやすいスポーツのため、また違う視点でアプローチが必要です。
このように自分が導き出した数値に加えて前提条件の妥当性を突っ込まれる可能性もありますので準備していきましょう!
■他にどのような計算式を考えたか?
日本国内の総バスケチーム数×チーム所属人数で算出する方法も考えました。
バスケは一人では行えず、チームに所属して行うスポーツという前提でありますし、私の友人もJBAと呼ばれる日本バスケットボール協会にチームとして加入して大会に参加したことがあると聞いたことがあったからです。
しかし複数のチームに所属する人や、チームに所属せずバスケをする人も多くいると考え、漏れダブりが発生するため、今回は人口比率から試算する方法が良いと考えました。
実際にJBAの資料によると、
・チーム加盟数:32,239チーム
・競技者登録数:557,842人
でした。
私の推定値や笹川スポーツ財団の資料結果と大きく乖離があることが分かります。
まぁそもそも今回の定義は「年に1回以上バスケをしている人」ですが、上記JBAの競技者登録数は、大会に出場する目的を持った人が多く、趣味レベルの人たちは除外されている可能性が大きいです。漏れダブリなどの前に、定義がそもそも異なる影響の方が大きいとは思います。
■より精度を上げるにはどうすればよいか?
振り返りでも書いたように、セグメントにさらに学生か社会人かを加えたり、よりライフスタイルを意識したセグメントで切り分けると回答すると思います。
以上、いかがでしたでしょうか?
最後までお読みくださりありがとうございました!
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